全日本国民の署名運動で水爆禁止を世界に訴えましょう

広島長崎の悲劇についで、こんどのビキニ事件により、私たち日本国民は三たびまで原水爆のひどい被害をうけました。死の灰をかぶった漁夫たちは世にもおそろしい原子病におかされ、魚類関係の多数の業者は生活を脅かされて苦しんでいます。魚類を大切な栄養のもととしている一般国民の不安も、まことに深刻なものがあります。
水爆の実験だけでもこのような有様ですから、原子戦争がおこった場合のおそろしさは想像にあまりあります。たった四発の水爆が落とされただけでも、日本全土は焦土となるということです。アインシュタイン博士をはじめ世界の科学者たちは原子戦争によって人類は滅びると警告しています。
この重大な危機に際して、さきに国会で水爆禁止の決議がおこなわれ、地方議会でも同じような決議がおこなわれるとともに、各地で水爆禁止の署名運動がすすめられています。しかし、せっかくの署名運動も別々におこなわれていては、その力は弱いものです。ぜひこれを全国民の署名運動に統合しなければなりません。
杉並区では区民を代表する区議会が四月十七日に水爆禁止を決議しました。これに続いて杉並区を中心に水爆禁止の署名運動をおこし、これをさらに全国民の署名運動にまで発展させましょう。そしてこの署名にははっきりと示された全国民の決意にもとづいて、水爆そのほか一切の原子兵器の製造・使用・実験の禁止を世界に訴えましょう。
この署名運動は特定の党派の運動ではなく、あらゆる立場の人々をむすぶ全国民の運動であります。またこの署名運動によって私たちが訴える相手は特定の国家ではなく、全世界のすべての国家の政府および国民と、国際連合そのほかの国際機関および国際会議であります。このような全国民の署名運動で水爆禁止を真剣に訴える時、私たちの声は全世界の人々の良心をゆりうごかし、人類の生命と幸福を守る方向へ一歩を進めることができると信じます。

一九四五年五月  水爆禁止署名運動杉並協議会議長

水爆禁止のために 全国民が署名しましょう
世界各国の政府と 国民に訴えましょう
人類の生命と 幸福を守りましょう